GWにあったもやもやとしてしまった症例を反省と今後の教訓として紹介させていただきます。今症例はGW最終日に受診した患者さんの症例です。
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コロナ以外にも怖いものはいっぱい
新型コロナが流行していた時は、コロナ一色でした。しかしコロナが落ちついてきてコロナ以外での重症患者さんが目立つようになってきました。今回もそんな一例です
5/6に受診しされたAさん(仮名)
主訴は、胸部不快
最初に症状がでたの4月の中頃の胸が痛いなづつないなと感じたがすぐに改善したとことで特段病院に受診せず。今回は、5/6朝に胸の痛みがあり、今は痛みはないが違和感があるとことで心配での受診された。
上記の内容で受診されたAさん、会話は可能でもちろん呼吸苦があるわけでもなくご本人も心配なって程度での受診でした。私の病院では、胸部痛があれば、診察前に心電図をとるようにしているので今回も実施しました。
心電図の結果・・・・
心電図を取り、Drに確認してもらったところ心筋梗塞を疑う波形ありすぐに追加の指示が出ました。
しかし今回の指示では、採血検査のみでした。緊急性が高い患者には、ルート確保もすることが多いのですが、ルート確保していなかったためにここからいろいろと問題が出てきます。
重なる小さなミス
採血後、患者には処置室で待ってもらうことが多いのですが、Aさんに関してはなぜか待合に戻ってもらっていました。また採決の検査項目に漏れがあり、結果の確認に時間がかかってしまっていました。そして最後のミスが、患者の取違いです。
これが起こった原因が上記に書いてある、Aさんを待合に戻してしまったことです。心筋梗塞疑いの患者を待合に戻してしまうのは大変怖いことです。自分たちの見えないところで急変する可能性も高くそれこそ処置も遅れてしまいます。
採血結果がすべて出たタイミングで、再度心電図の指示が出たので取ってもらう際に医師も診察補助に付いていた看護師もAさんは処置室にいるものだとばかり思っていたのですが、そこにはAさんではない患者がおり、その患者に心電図をとってしまっていました。Drが患者に話をしに行った際に別人であることが判明し急ぎ本人の所在を確認した際に待合で待っているのを発見。すぐに空いている診察室に入ってもらい心電図・ルート確保を実施。やはり心筋梗塞の疑いが強いため救急搬送にて転院搬送になりました。
ここでさらなる不運が・・・・
GW最終日だったからなのか、わかりませんがなんと近くの消防の救急車がすべて出払っているとのことで救急車の到着が15分~20分かかるとのこと。救急搬送は変わらず、急変に注意しながら救急車の到着を待つことに。その際は、Aさんはそんなに大事なんですかとあまり自覚症状ない様子。付き添い者は知人で、妻は入院中とのことで二人そろって入院ですかねとわらいながら話をされていました。
救急車到着後、自ら救急車のストレッチャーに移ったりなど状態は安定されていましたが、少し不安な部分一つありました。それは、救急車が到着する前に酸素飽和度が下がってきていました。器具の外れも考えましたが、それにしては基準値よりもやや低くなっていたためにその段階で医師に報告し酸素投与開始。
酸素投与した状態で、救急車にて総合病院へ行って搬送されました。救急車に乗る前には、初めて「救急車に乗りますわ」と冗談を言われ笑顔も見られていました。
搬送後、無事に戻ってこれるだろうと思っていたのですが・・・・
総合病院からの返書を見て愕然・・・・
GW明けから診療があったので、出勤した際に外来スタッフよりショックな話を聞かされました。
Aさんが、紹介先で急変して亡くなられたと
返書の内容では、CTの結果、急性心筋梗塞陳のため心カテを実施するため準備をしている最中に意識レベル低下し急変。心カテ実施できたものの、心肺停止し蘇生行うも蘇生困難と判断し家族にも説明し同日、死亡宣告となったと。検査した際にもともと陳旧性心筋梗塞があり心臓の血管のうち3本がすでに100~99%閉塞されていた。閉塞仕掛けている残りの血管のうち1本は開通することができたが、もう1本はカテーテルが入らないほどのつまりで通すことができなかった。今回の心因はこれであろうとのことでした。
今症例にかんして
今回、この出来事があり体制など振りかえりました。
看護師の体制として、GW最終日ということもあり例年通りなら患者の来院は少ないであろうと考えていました。そのため看護師の体制は少ない状態であったため4人での対応でした。当院では、発熱外来も対応しているため、検査に1人、診察補助に1人、処置などの外回りに2人という体制。しかしこの日は予想を超え処置室がすべて埋まるような状況でした。また救急搬送がAさんとは別でもう一件あり慌ただしい状況でした。
外回りする看護師が、互いに状況の確認ができず情報共有もままならなかった。
診察補助の看護師との共有ができていなかった。
Aさんの今の状態から緊急度の認識が薄かった
検査・処置の遅れ(Aさんが待合に戻っていたことに気づいていなかった)
救急搬送の遅れ(別件のほうが先に搬送されている、受付はAさんのほうが先)
上記のように、ヒューマンエラーが重なり今回起こったと考えています。検査した結果、陳旧性心筋梗塞があり今回のタイミングで残っていた血管がつまった、これがもし搬送するのが早ければ結果は違っていたのではないかと考えたり。タラればですが自分たちがもっとうまいことできていたらと、ただ状態から考えたらどうだったのかなどもやもやとしてしまいます。
今後に関して
今回、マンパワー不足だったこともそうですが、情報共有というところでも反省点がありました。この辺に重点をおきつつ、やはり緊急度の高い患者というものを整理して対応する看護師が同じ認識でいられるようにしていこうと思いました。現在は、すでに取り組みを行っており自分たちも後悔なく対応できるようしていきます。
駄文・長文を読んでいただきありがとうございます。
最後になりますが、Aさんのご冥福をお祈り申し上げます。
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